Emotional Availability(情緒的応答性、以下EA)は、親子や養育者と子ども、広くは大人と子どもの関係性を、情緒的なやりとりの質から理解するための視点です。
EAは、30年以上にわたる研究の蓄積を背景に、世界各国の研究・臨床・支援の場で活用されてきました。emotionalavailability.comでは、EAが25か国以上で用いられ、400本以上の研究文献で取り上げられていることが紹介されています。
EAでは、子どもの行動だけを見るのではなく、大人が子どものサインをどのように受け取り、応答し、子どもとの関係性をどのように築いているかに注目します。また、子どもが大人にどのように応答し、関係性の中にどのように関わっているかにも目を向けます。
親子関係/大人と子どもの関係を単純に「よい・悪い」と評価するのではなく、相互のやりとりの中で何が起きているのかを丁寧に理解し、支援につなげていくことを目指します。
EAでは、親子や養育者と子どもの関係性を、主に6つの視点から理解していきます。
養育者・大人側の視点としては、子どものサインを受け取り応答する感受性(Sensitivity)、子どもに合った形で関わりを支える構造化(Structuring)、子どもの主体性を尊重しながら関わること(Non-intrusiveness)、そして否定的な感情や敵意の表出の程度(Non-hostility)に注目します。
子ども側の視点としては、子どもが養育者・大人にどのように応答しているか(Child responsiveness)、また関係性の中にどのように関わり、大人をやりとりに招き入れているか(Child involvement)を見ていきます。
EA Scalesは、これら6つの視点をもとに、親子や養育者と子どものやりとりを観察し、関係性の質を理解するための枠組みです。
EAでは、一方の行動だけを取り出して評価するのではなく、養育者・大人と子どもが互いにどのように応答し合い、関係性をつくっているかを丁寧に見ていきます。
そのため、EA Scalesは親子関係を単純に「よい・悪い」と判断するためのものではなく、相互のやりとりの中にある強みや課題を理解し、支援につなげていくために用いられます。
EA Briefingは、EA Systemを用いたビデオフィードバックにもとづく短期的な介入アプローチです。親子や養育者と子どものやりとりをビデオで記録し、EAの視点から、関係性の中でうまくいっている部分や、変化の可能性がある場面を具体的に共有します。
親や養育者が自分の関わりの中にある強みや可能性に気づき、子どもとのやりとりを少しずつ調整していくことを支える方法として、臨床・子育て支援・予防的支援の場での活用が期待されています。
クリニックおぐらでは、EA Briefingをもとにした親子関係支援を「EAコーチング」として臨床実践の中で行い、その変化について臨床研究としても検討してきました。
現在、その結果について論文投稿に向けた準備を進めるとともに、国内外の学会での発表を予定しています。詳しくは「活動実績・お知らせ」をご覧ください。
Emotional Availability in Japanでは、臨床実践と研究の両面から、EA Briefingを日本の臨床・子育て支援の現場でどのように活かしていくかを検討していきます。
Emotional Availability(EA)は、Dr. Zeynep Biringenにより発展・体系化されてきた、親子や養育者と子ども、広くは大人と子どもの情緒的な関係性を理解するための評価・支援の枠組みです。
EAは、Robert N. Emdeによる emotional availability や情緒に関する概念化、そしてBowlbyやAinsworthによるアタッチメント理論を背景に発展してきました。Dr. Biringenは、それらの理論的背景をもとに、親子や養育者と子どもの情緒的なやりとりを観察し、関係性の質を理解するためのEA システムを発展・精緻化してきました。
Dr. Biringenは、米国コロラド州の臨床心理士であり、コロラド州立大学の名誉教授です。1980年代後半よりEAシステムの創始者・開発者として、世界各国の研究者・臨床家・支援者の学びと実践を支えてきました。
EA Japan Hubは、Dr. Zeynep Biringenおよびemotionalavailability.com, LLCとの協働のもと、日本および東アジア地域におけるEAの学びと実践を支える活動を行っています。
Emotional Availability(EA)の理論的背景、研究知見、臨床応用について詳しく知りたい方は、以下の文献もご参照ください。
Biringen et al. (2014). Emotional availability (EA): Theoretical background, empirical research using the EA scales and clinical applications. Developmental Review, 34, 114–167.
PMCID: PMC4516809 PMID: 26283996 https://doi.org/10.1016/j.dr.2014.01.002
Biringen et al. (2022). Emotional Availability: Clinical Populations and Clinical Applications. Human Development, 66(3), 192–215.
DOI: 10.1159/000525256
EAに関する論文リストはこちら。